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ヨーロッパ近代文学より、人生の名言集

この記事の最終更新日:2006年4月23日

人生の糧になる名言を、ヨーロッパの近代文学から抜き出してみました。こういった気高い精神、現代では貴重です。尊厳を忘れずに生きてみたいです。


「私は文学の作品を書いているのではない。信念の作品を書いているのである」(ロマン・ロラン)


「仕事を一時間放棄する芸術家は、どんな道徳的理由からそうするにしても、実在しない何物かのために一つの実在を犠牲にしている」(プルースト『見出された時』p330)


「われわれは芸術作品をまえにして、いささかも自由ではないということ、われわれはそれを自分の思惑通りにつくるものではないということ、それはわれわれに先だって存在していて、必然的存在であると同時に隠れているのだから、われわれは自然のある法則を発見するようにしてそれを発見しなくてはならない、ということだった。しかし、芸術がわれわれに発見させてくれるものは、要するに、われわれにとってもっともたいせつなものであるにちがいないが、普通はいつまでもわれわれに知られないままの状態にある、そしてそれこそわれわれの真の生活であり、われわれが感じたままの現実なのであるが、われわれが信じているものとは非常にちがう……」(プルースト『見出された時』p339)


「今の時代に生きてゆこうと望み、生きてゆくことを喜びたいと思うなら、あなたやわたしのような人間になってはならないのです。雑音のかわりに音楽を、楽しみごとのかわりに心からの喜びを、おかねのかわりに魂を、盲目的な仕事のかわりに真実の仕事を、たわむれのかわりにほんとうの情熱を要求する人にとっては、この小ぎれいな世界は、故郷ではないのです……」(ヘッセ『荒野の狼』)


「この雑誌は論争的なものではなくて、建設的、生産的、同時にまた再建的、友情的に未来へ働きかけようとするもので、国内ドイツの空位期間のあいだ、同時代の最高のドイツ文化の避難所として、信頼と権威をかちえたいと思います……」(マン『ヘッセへの手紙』)


「われわれが真の科学とみとめるのは、ただ、われわれのよりよく生きることを助けてくれる知識だけで、またわれわれが芸術を尊重するのは、それがわれわれの思考をきよめ、魂を高揚し、労働と愛の生活に欠くべからざるわれわれの力を強化する場合にかぎるのだよ。(…)きみたちのほうの学者は、人々に悪をもたらすための新しい方法の捏造に、自分の思考能力を用いているーー彼らは戦争、すなわち殺人の方法を完成したり、また楽な金もうけ、つまり他人の骨折りで一部の者を富ます新しい手段を案出したりする。君たちの芸術は、神々をまつる神殿の造営や装飾に奉仕しているが、そんな神々なんか、きみたちの中でもずっと進歩している人たちは、もうとくの昔から信じてはいないのだ。しかもきみたちは、そうした欺瞞で多くの人々をよく自分の権力下に維持できるものと考えて、他の人々のあいだではその信仰を支持している」(トルストイ『光あるうちに光の中を歩め』)


「ぼくは自分が信じていないものに仕えることはしない。それがぼくの家庭だろうと、祖国だろうと、教会だろうと。ぼくはできるだけ自由に、そしてできるだけ全体的に、人生のある様式で、それとも芸術のある様式で、自分を表現しようとするつもりだ。自分を守るための唯一の武器として、沈黙と流寓とそれから狡知を使って」(ジョイス『若き芸術家の肖像』)



「文学的精神とは精神そのものであり、分析と形式との結合の奇蹟である。この精神こそあらゆる人間的なるものに対する理解を覚醒せしめ、愚味なる価値判断や信念などの力を弱めて解体させ、人類の教化、醇化、向上をもたらすのである。文学的精神はきわめて高度の倫理的洗練と道徳的感受性を創造することによって、感情に溺れるのではなく逆に懐疑と正義と寛容の精神を養うのである。文学の浄化作用と醇化作用、認識と言葉とによる情熱の鎮静、理解と宥恕と愛とへ導く道としての文学、言語の救済する力、人間精神一般のもっとも高貴な表現としての文学精神、完全な人間及び聖者としての文学者……」(マン『魔の山』)


「一、生活に目的を定めること、一つの仕事をおのれに課すこと
 二、その目的に添うように、おのれの努力を方向づけ、意志を確定すること。
 三、おのれの行動の対象を、おのれ自身の中に求めずに、おのれの外に求めること。おのれのための生活に専念せずに、おのれの生活の対象のために専念すること。
 四、他に役立つものになること。それも抽象的、概念的、遊離的、「博愛的」でなしに、積極的で具体的にそうなること。善(たとえば施し、同情、寛容、親切など)を行なう一般的な機会を逃がすことなく、他人の誰かの幸福のために尽すことに、おのれの生活を捧げること。ーーおのれの慈悲心や愛を、あいまいな感傷におわらせないようにとくに心がけること。
 五、真実を求めることをけっしてやめないこと(調和的すなわち全体的な真実。芸術においては美。行動においては善。)もし真実がえられたなら、それをできるだけ他人にも享受させること。ただしそれを他人に押しつけないこと。他人には他人の欲するもの、たとえば自尊心の満足とか愛情とかを与えること。そういうものは、真実(たとえささいな真実であろうとも)をえてそれを信じている者にとっては、与えたとてなにほどのものでもない」(ロランが示した日常生活の規範)

「時代と世界と、おかねと権力は、ちっぽけで浅薄な人たちのもので、そのほかのほんとうの人間たちには、なあんにもないのよ。死のほかにはね」
「そのほかはなんにもないのかね」
「いいえ、あるわ、永遠が」
「名を残すこと、つまり後世での名声のことかね?」
「いいえ、狼さん。名声じゃないわーー名声なんかに価値があるでしょうか? それに、どこからみてもほんとうの人間だった人たちが、みんな有名になったり、後世に名を知られていたりするとでも、思っているの?」
「いや、もちろん、そんなことはない」
「そうでしょう? だから名声なんかのことじゃあないわ。名声というのはただ、教養のためにあるものよ。学校の先生のためのものだわ。名声なんかじゃない、ぜんぜんちがうわ! わたしが永遠という名前で呼んだのはーー信心ぶかい人たちは、それを神の国といってるわ。わたしはこんなふうに思っているの。わたしたち人間は、つまりわたしたちのように他人より要求が多くて、あこがれも容積も多すぎる人間が、なんとかそれでも生きてゆこうと思えば、この世界の空気のほかに、なお別な空気を吸えなければならならないし、こんな時代のほかに、なお永遠というものがなくちゃならないはずなんだわ。(…)一つ一つの真実な行為の姿、一つ一つの真実な感情の力は、たとえだれにもそれが知られずに、だれからも見られず、書き記されず、後世のために残されていなくても、それはそのまま永遠の国のものなのよ。永遠には後世なんかないんだわ、あるのはただ、今の世だけよ」(ヘッセ『荒野の狼』)

「それらの印象を、よりよく味わうただ一つの方法は、それらが見出される場所、すなわち私自身のなかで、もっと完全にそれらを知る努力をすること、それらをその深い底の底まであきらかにするように努力することだった」(プルースト『見出された時』p333)

「誰も、どんな規定も、私をたすけることはできなかった、それらを読みとることは、どこまでも一種の創造的行為であった、その行為ではわれわれは誰にも代わってもらうことができない。いや協力してもらうことさえできないのである」(同p337)

「真の書物は、白昼と雑談との子ではなくて、晦冥と沈黙の子でなくてはならない」(同p370)

「殺すな、姦淫するな、放蕩するな、盗むな、占うな、毒害するな、隣人に属するものを望むな。誓うな、偽証するな、誹謗するな、悪を記憶するな。心に表裏を持つな、ふたつの言葉をつかうな……汝の言葉は偽りならず、空しからず、行ないと合致するようにせよ。貪欲であってはならぬ、掠奪者であってはならぬ。偽善者であってはならぬ。不道徳であってはならぬ、傲岸であってはならぬ。隣人にたいしてわるい企みを抱くな。あらゆる人に憎悪を持つな、しかしあるものはその罪をあばき、あるもののために祈り、またあるものはおのが魂にもましてこれを愛せよ……」(トルストイ『光あるうちに光の中を歩め』)

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