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書評:マルクス・アウレリウス『自省録』

この記事の最終更新日:2006年6月1日

自省録
自省録マルクス アウレーリウス Marcus Aurelius 神谷 美恵子

岩波書店 1956-01

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プラトンは哲学者が皇帝になることを求めました。そんなこと、夢物語かと思えば、早くもローマ時代に哲学者が皇帝になりました。皇帝が哲学者になったという方が適切かもしれません。

ローマ帝国皇帝が、公務の間に書き留めた『自省録』は、人生の聖書となっています。


第一章から。

『自宅で良い教師についたこと、このようなことにこそ大いに金を使うべきであることを知ったこと』

『中傷に耳をかさぬこと』

『つまらぬことに力をそそがぬこと』

『ペテンや魔術師のいうことを信用せぬこと』

『自分の性質を匡正し訓練する必要のあることを自覚したこと。詭弁術に熱中して横道にそれぬこと。理論的な題目に関する論文を書かぬこと。けちなお説教をしたり、道に精進する人間、苦行にはげむ人間として人の眼をみはらせるようなポーズをとらぬこと。』

『手紙を簡単に書くこと』

『注意深くものを読み、ざっと全体を概観するだけで満足せぬこと』

『修養して正しくなった人間、というよりはむしろ天性まがったことのできない人間、という印象を与えたこと』

『何か用事のためにそばを離れていた人びとが帰って来て見ると、常に同じ彼を見出したこと』

『倦怠もしなければ夢中になりもせずに友人を待ちつづけること。あらゆることにおいて自足することおよび快活さ。はるかかなたを予見し、悲劇的なポーズなしに、細小のことに至まであらかじめ用意しておくこと』

『神々にたいしては迷信をいだかず、人間にたいしては人気を博そうとせず、きげんをとろうともせず、大衆にこびようともせず、あらゆることにおいてまじめで着実で、決して卑俗に堕さず、新奇をてらいもしなかったこと』

『自己のなすべきことにのみ目をそそぎ、それによってえらるべき名誉には目もくれなかった』

どんな哲学者よりも簡潔で、的確な教えです。


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