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デリダ『グラマトロジーについて』(1967年)

この記事の最終更新日:2006年5月28日

グラマトロジーについて 上
グラマトロジーについて 上ジャック・デリダ

現代思潮新社 1996-12

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20世紀において最も重要な思想家と目されているデリダの主著です。


デリダの文体的特徴は、顕微鏡のように批評対象となる作品を読みこんで行くその歩みの遅さにあります。たった一つの文について、デリダなら何ページにも渡って、旧約聖書に注釈をつけるラビのように文章を書き並べることができるでしょう。しかもそれが実に刺激的で今までにない解釈を発見させてくることにデリダの特徴があります。この入念な読みこみ、読んでいるテクスト自体の論理を解体させてしまうまでの執拗さは、極めてスローであり、哲学的営みは加速化するビジネスとは全くことなり、通俗的時間概念の外にあり続けるものだということがわかります。

対象となるテクストを読めば読むほど、テクストが主張している論理の粗が見えてきますし、テクストが、己の外に排除している事柄が見えてきます。文章そのものにはあらわれてこないもの、余白をデリダは重視します。何かが真理と選び取られて、その他のものが偽物として排除されていく、形而上学の営み全体が批判の対象となります。

このような営みが何を招来するのか、それはレヴィナス的なまったき他者です。決して自己には回収されえないし、理解も不可能な完全なる他者を招来し、同化することなく歓待すること。まったき他者が自由に到来することを喜ぶこと。デリダにとって自由とは、主体の独断的自由ではなく、他者が他者のまま存在できるという、存在の自由をさします。







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