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フロイト『精神分析入門』

この記事の最終更新日:2006年5月28日

精神分析入門 (上巻)
精神分析入門 (上巻)フロイト
新潮社 1977-01

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フロイトは、よく批判されます。何もかも性欲でとらえようとする、幼児期の家族関係でとらえようとすると批判されます。フロイト流の解釈によって、いとも簡単に文学を批評できるし、精神分析理論にのっとった小説も簡単に書くことができます。

ナボコフはフロイトとドストエフスキーに対する徹底的な嫌悪感を表明していましたが、彼が書く小説はきわめてフロイト的、ドストエフスキー的であり、彼の代表作『ロリータ』は、ロリータ・コンプレックスという流行語を生み出しました。

ナボコフの『ロリータ』が、幼児性愛の病理という問題で簡単に片付けられないのはもちろんです。ナボコフが主張するように、文学には粗雑に解釈できない豊かな深さが宿っています。それでも、フロイトの精神分析理論は、現代世界に多大な恩恵をもたらしています。

意識的な行動によって人間は規定されておらず、夢、無意識、妄想、思いこみなど、深層心理の働きが我々の行動を規制しているという考えは、構造主義的思考法の元ともなっています。フロイトの考えには十九世紀末ウィーンが持っていたデカダンの雰囲気が漂っています。

簡単に、入門的に解説できるほど、精神分析は広大です。フロイト自身の著作にあたれば、精神分析がどれだけ広い射程を持っているかわかることでしょう。性欲から社会現象全てをとらえようとしたわけではなく、誰も注目しなかった性欲という現象を徹底的に真面目に考え抜いた思想家として、フロイトは思想の革命者でした。

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