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キルケゴール『死に至る病』

この記事の最終更新日:2006年5月28日

死にいたる病
死にいたる病セーレン キルケゴール Soren Kierkegaard 桝田 啓三郎

筑摩書房 1996-06

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キルケゴールの実存哲学は、ヘーゲルや因習的なキリスト教会との対決によって創られます。

具体的な単独者として歴史や不安と向き合い決断していくこと。ヘーゲル的に不安やおそれを乗り越えて行くのではなく、不安は不安のまま自己のうちに抱えこんで生きて行くこと。罪を抱えたまま生きざるを得ないというキリスト教的な思考が、自己に向かってくる否定物を否定することの不可能性を説きます。

自己とは本来的に欠落、罪を抱えこんだ存在者であるから、自己の欠落、否定生をなかったものかのように否定しさることは、自己自身の否定となります。

絶望を抱えこんで生きること、人間は決定的に不完全な存在なのだという覚悟は、信仰心を育みます。絶望の極致にあって、誰にも頼れない単独者として神と向き合うこと、神を尺度として自己をはかること。

絶望は、人間、世間、社会に根拠をおいているからこそ生じるとキルケゴールは言います。自己が生きている根拠を神におくことで、自己の欠落性は救い取られます。自己が抱えこんでいた欠落、罪とはすなわち、神の否定、神からの欠落であったわけです。



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