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死にいたる病 | |
セーレン キルケゴール Soren Kierkegaard 桝田 啓三郎 筑摩書房 1996-06 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連作品 キルケゴール ツァラトゥストラはこう言った 上 岩波文庫 青 639-2 道徳の系譜 ツァラトゥストラはこう言った 下 岩波文庫 青693-3 90分でわかるキルケゴール |
キルケゴールの実存哲学は、ヘーゲルや因習的なキリスト教会との対決によって創られます。
具体的な単独者として歴史や不安と向き合い決断していくこと。ヘーゲル的に不安やおそれを乗り越えて行くのではなく、不安は不安のまま自己のうちに抱えこんで生きて行くこと。罪を抱えたまま生きざるを得ないというキリスト教的な思考が、自己に向かってくる否定物を否定することの不可能性を説きます。
自己とは本来的に欠落、罪を抱えこんだ存在者であるから、自己の欠落、否定生をなかったものかのように否定しさることは、自己自身の否定となります。
絶望を抱えこんで生きること、人間は決定的に不完全な存在なのだという覚悟は、信仰心を育みます。絶望の極致にあって、誰にも頼れない単独者として神と向き合うこと、神を尺度として自己をはかること。
絶望は、人間、世間、社会に根拠をおいているからこそ生じるとキルケゴールは言います。自己が生きている根拠を神におくことで、自己の欠落性は救い取られます。自己が抱えこんでいた欠落、罪とはすなわち、神の否定、神からの欠落であったわけです。
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