世界の名著リバイバル!

World's Great Books Revival Project

ホーム >

書評:ヒルティ『幸福論』

この記事の最終更新日:2006年6月1日

幸福論 (第1部)
幸福論 (第1部)ヒルティ

岩波書店 1961-01

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
幸福論 第2部
幸福論 第3部
眠られぬ夜のために〈第1部〉
眠られぬ夜のために〈第2部〉
ラッセル幸福論

人生論の古典、『幸福論』は、まず、「仕事の上手な仕方」についての説明から始まります。

『人生はそもそも「享楽」すべきものではなく、必ず実を結ぶように営もうと心掛けねばなばらぬ。これを悟らぬ者は、すでに精神的健康を失っているのである。』(p17)

マルクスのいう「労働を通して実現する幸福」に通ずるものがあります。

『野心家や貪欲な者は、なるほど時には非常に勤勉であるが、しかし終始かわらず規則的に仕事を進めていくことは稀である』(p21)

『諸君は、ある事柄、またある特定の人々に対する愛と義務感情から働きなさい。何らかの人類社会の大問題に参加するがよい。』(p23)

『早くから自分をこえて、自分だけのために生活しないということが、青年を向上させ、強健にして、事に屈せぬ力を与える唯一の道である。利己主義は常に一つの弱点であり、ただかずかずの弱点を生みだすのみである。』(p23)


「どうしたら策略なしに常に悪とたたかいながら世を渡ることができるか」という節では、本当の理想主義について語られます。

『本当の意味の理想主義は、明らかに、われわれが現実からすっかり遠ざかって、自分の夢想の世界にとじこもることで現実をごまかしたり、あるいはわざと現実を無視したりすることにあるのではなく、むしろ普通に行なわれているよりも一層深く世界を把握し、そしてこれを自分自身の内部において克服する点にあるのである』(p124)

世間を離れるよりも、自己から離れるよりも、世間の中で、自己を克服していくこと。


おすすめ本

お厚いのがお好き?
お厚いのがお好き?
世界の名著を面白く、わかりやすく紹介したテレビ番組の書籍版です。

必読書150
必読書150

柄谷行人らによる人文教養書150冊の解説書です。

千年紀のベスト100作品を選ぶ
千年紀のベスト100作品を選ぶ

千年間に創られた芸術作品の中からベスト100を任意で選び、解説した本です。

教養のためのブックガイド
教養のブックガイド

東大教授陣による教養書ガイドです。

ニコスマス倫理学
ニコスマス倫理学
古典の中の古典。必読の名著です。

失われた時を求めて 第一篇 スワン家の方へ(1)
失われた時を求めて
20世紀文学の最高傑作の一つです。


↑このページの先頭に戻る
(c) Sidehill