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資本論〈第1巻(上)〉 | |
カール マルクス Karl Marx 今村 仁司 筑摩書房 2005-01 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連作品 資本論〈第1巻(下)〉 ルイ・ボナパルトのブリュメール一八日/経済学批判要綱「序説」「資本制生産に先行する諸形態」/経済学批判「序言」/資本論第一巻初版第一章 マルクス・コレクションI マルクス・コレクション VI フランスの内乱・ゴータ網領批判・時局論 (上) マルクス入門 |
マルクスは現代史にとって決定的に重要な思想家です。まず歴史的に振り返ると、マルクスの哲学ははじめて宗教、神と完全に手を切った近代哲学を構築したといえます。デカルト、カント、ヘーゲルも、近代的な主体、自我を哲学の中心に据えたのですが、宗教や神を自己の哲学大系の中に組みこんでいました。十八世紀後半、産業革命後の社会に生きたマルクスは、宗教は阿片であるといい、完全に神や救いの問題と無縁の場所で、近代的な哲学を開始します。
現代から見ると、マルクスの哲学は、共産主義という名の全体主義を生み出したものと見えます。マルクス哲学の元となるヘーゲルらドイツ観念論の考え方からして、社会全体を総体的にとらえるものであるから、ファシズムや共産主義などの全体主義的思考はヘーゲルのうちにすでに見出しうるという考えもあります。全体主義が幻滅に終わった後、マルクスを含めた哲学の全ては批判というか無関心の波に流され、社会はどんどん消費/物欲社会化しています。これはマルクスが求めていた哲学的理想郷、労働者の全てが哲学者であり芸術家であるような世界とは全く異なるものです。
ここ最近になって、マルクスを再評価する動きが活発です。ソ連など現実化した共産主義国家とは全く別物として、マルクスの哲学を考察し、資本主義経済を乗り越える契機をつかみ出そうという運動が盛んです。ネグリやスピヴァクらポストコロニアルの思想家は、社会批判理論としてマルクス哲学を活用していますし、グローバルな経済発展がこのままでいいわけがありません。環境破壊、飢餓、貧富の拡大、民族紛争など人類が直面している問題について図太く考察する契機として、マルクスの思想を手放さずに、こちらに引き戻す作業が必要となります。
マルクスが分析していた経済体制と現在のシステムはもちろん異なりますが、労働者について考察する時、マルクスの『資本論』は欠かせません。幸福を感じながら、自己自身を実現するための天職としての労働にどれだけの人が取り組んでいるのか。
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