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サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』

この記事の最終更新日:2006年6月4日
キャッチャー・イン・ザ・ライ
キャッチャー・イン・ザ・ライJ.D.サリンジャー 村上 春樹
白水社 2003-04-11

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フラニーとゾーイー

サリンジャーは多くの読者に人気があります。『ライ麦畑でつかまえて』の世界的ヒットの後、『フラニーとゾーイー』などいくつかの重要な小説を発表した後、サリンジャーは執筆活動をやめて、隠遁します。未だに生きており、何をしているのかわからないサリンジャー。果たして何か作品を書き残しているのか、日記をつけているのか、彼の死後わかることですが、俗人的興味はつきません。消費に狂騒するアメリカの知識人は、ピンチョンにしてもサリンジャーにしても、冷静な沈黙を好むようです。

サリンジャーの小説の中でも、ライ麦以上におすすめなのが、『フラニーとゾーイー』です。小説終盤のフラニーとゾーイーとの対話は、実に美しく、すばらしく、サリンジャーがこうした小説を残してくれたことに感謝の念を禁じえません。

ライ麦について、数多くの関連書籍が発売されていますが、一読をすすめるのが、私の大学のアメリカ文学史の講師でもあった竹内氏の著書です。

『ライ麦畑でつかまえて』についてもう何も言いたくない―サリンジャー解体新書
『ライ麦畑でつかまえて』についてもう何も言いたくない―サリンジャー解体新書竹内 康浩
荒地出版社 1998-03

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文学を読むこと、評論することの面白さをこの本で初めて知りました。

一読後はあまりの独創的な解釈に、こんなことサリンジャー自身は意図して書いていないのではないか、竹内氏の思いこみによる誤読ではないかとも思ったのですが、『フラニーとゾーイー』を読みこむ中で、「離れてあること」という竹内氏がライ麦の中心概念として摘出していたものが、『ゾーイー』の文章中にサリンジャー自身によって書きこまれていたことを発見して、ライ麦もまた離れてあることに触れた小説作品だということに納得しました。

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